「スキルベース」はピープルアナリティクスにどう活用できるか?
こんにちは。データ経営コンサルタントの武田邦敬です。
最近人事分野では、「スキルベース組織(skills-based-organization)」というキーワードがトレンドになりつつあります。スキルベース組織とは、従来の職務やポジションではなく、従業員個人が持つスキル・能力などをベースに組織を構成する方法論で、米国で広がりつつあります。
スキルベース組織について解説した記事も増えてきました。
先日、スキルベースに関するセミナーを聴講してきたのですが、非常に熱い空気感を感じるとともに、今後の戦略人事を支えるテーマの一つになるだろうと思いました。ということで、熱が冷めないうちにレターを書いています。
このレターではスキルデータの活用シーンとハンドリングについて考えてみます。
スキルベース施策は人事戦略に従う
スキルベースを成功させるための必要条件は、スキル定義の精緻化と継続的なマネジメントだと考えています。
自分自身の会社員時代を思い出してみると、人事施策によってスキルをシステムに登録したことがありましたが、メンテされず形骸化していきました。なぜそうなったのかというと、せっかく入力した情報をうまく活用できなかったからです。従業員本人あるいはミドルマネジャーにとって、インセンティブのないデータ整備は無駄な作業にすぎません。
セミナーでも議論がありましたが、やはり人事戦略や事業戦略に根差したスキルベースの取り組みでないとうまくいかないのです。
スキルベースの考え方は米国で先行しているようですが、労働市場と事業環境の急速な変化についていくために必要とされているのだろうと想像しています。AI分野はその代表例ですね。
AIエンジニアといっても様々なポジションがあり、例えば機械学習中心のAIエンジニア、MLOpsエンジニア、LLM開発AIエンジニア、プロンプトエンジニアには大きな違いがあります。そして、これらのポジションがたった数年で登場していることを考えると、ジョブディスクリプションだけで追いつかないというのは納得ができます。
その一方で、「ジョブ型はもう古い」というのはやや言い過ぎのような気がしています。スキルベース組織の成功のためには、人事配置や採用の流動性があることが必要に感じるからです。定期異動や年功序列型のスタイルのままスキルベースを取り入れてもきっとうまくいかないでしょう。N1ではありますが、私がかつて在籍していた職場での経験と一致しています。
ということで、スキルベース施策がうまくいくかどうかは人事戦略にかかってくるのではないでしょうか。
スキル情報の活用シーン
では、全従業員のスキル情報やジョブ(もしくはポジション)に必要とされるスキル情報がそろったとしたら、どのような活用シーンが生まれるでしょうか。