人的資本経営とピープルアナリティクス
ここ数年、国内で人的資本経営への関心が高まっています。2020年に経産省より「人材版伊藤レポート」が提示され、更に2023年より上場企業の人的資本情報の開示が義務化されたことで、人事の方はもとより経営層にも認知されています。
実際、Googleトレンドで関連ワードの検索状況を調べてみると、これらのイベントと共に関心が高まる様子が分かります。

人的資本キーワードの検索傾向(Google トレンド)
このグラフを見ると、開示については2023年3月の義務化のタイミングをピークになだらかに下降線をたどっていることに気づきます。つまり、開示については義務化され定常業務になったのではないかと想定されます。
一方、人的資本経営というワードへの関心はキープしており、期待を持って情報収集をしている人が一定数存在していることが伺えます。この7月から「人的資本銘柄」に対する株価指数も算出されるなど、盛り上がりを見せています。
こうした状況の中で、現場負荷を上げるだけではないかという声もあがっています。
多くの人事担当者・IR担当者が、人的資本開示の事務負担を嘆いていました。上場企業では来年から人的資本の開示が義務化されますが、開示項目が企業の自主性に委ねられていることから、どう開示するべきか、いま人事部門・IR部門は検討作業に追われています。
「人事・IRの担当者が手分けしてセミナーに参加し、他社と情報交換し、開示内容の検討を進めています。近く開示内容が決まったら、実際に情報を収集・分析する必要があり、さらに業務負荷が増えます。『ヒトが大切』が合言葉の人事部門が人的資本開示のため大残業し、疲弊しているのは、ブラックジョークです」(電機・人事担当者)
このように、人的資本や人的資本経営をめぐる現実は大変複雑なものです。複雑になる要因は様々ですが、私は社内外に様々なステークホルダーが存在しているからではないかと考えています。

社会と企業にまたがる人的資本(ステークホルダー)
そこで、本レターでは、経営の観点で人的資本経営の位置付けを整理した上で、ピープルアナリティクスとの接点を考えてみます。ただし、このレターではESG投資に代表される資金調達ではなく、内部資源の開発にフォーカスしていますので、その点ご了承くださいませ。
以下では、人的資本経営とピープルアナリティクスの接点について、経営戦略からISO 30414の活用まで掘り下げてご紹介しています。また、後半ではKPI設計のヒントや実務での活用アプローチを詳しく解説しています。ぜひ無料購読で続きをご覧ください。
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- 経営戦略としての人的資本経営
- ピープルアナリティクスで経営と人事を連動させる
- ISO 30414の指標を活用してKPIを構成する
- 人的資本経営は一過性のものではない
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