People Analytics Idea HUBを公開した理由と構築に苦労したこと

クニラボWebサイトで発信してきたピープルアナリティクスに関する情報をまとめた「People Analytics Idea HUB (PAI-HUB) 」を公開しました。本レターではPAI-HUBを作った理由や構築に苦労したことをお伝えします。
武田 邦敬 2025.08.05
誰でも

ピープルアナリティクスを実践するための具体的なアイデアやノウハウを集約した「People Analytics Idea HUB (略称 PAI-HUB)」を公開しました! 人事データ活用やピープルアナリティクスチームの立ち上げの第一歩に、ぜひお役立てください。

PAI-HUBとは?

  ピープルアナリティクスの進め方や分析のアイデア、ユースケース、データ可視化例など、これまでにクニラボのサイトで発信してきた情報を集約したものです。  

People Analytics Idea HUB

People Analytics Idea HUB

ひとことでいうと「ナレッジハブ」です。ナレッジハブとは特定の分野の知識や情報を集約・整理し、活用しやすくしたもの。とはいえ、私自身がピープルアナリティクスを実践しながら学んできたことを発信しているので、ナレッジに至る過程というのが正直なところです。

そこで、「アイデアハブ」という名前で手早く公開しながら、ピープルアナリティクスに挑むみなさんと一緒にブラッシュアップしていきたいと考えています。

本レターを購読いただいている皆様からのご意見も募集しています。こうした情報を掲載してほしい、実務でこんなことに困っているなどありましたらぜひコメントをお願いします!

なぜ作ろうと思ったか?

このPAI-HUBには約90件の記事が集約されていますが、その多くはクニラボのWebサイトで公開されていた記事です。これらは、私がピープルアナリティクスの実践現場で思いついたことを赴くままに書いためてきたものでした。

すべての記事を私一人でコツコツ書いているのでスローペースですが、生成AI(LLM)では得られない情報になっていると思います。

その一方で、クライアントの方から「…ということが分からない」「…ということを知りたいだけど情報がない」というご相談をいただたときに、記事のURLをお伝えすることも少しずつ増えてきました。

このとき、自分自身も「あの記事どこにあったかな」と探すのが大変になってきたのですが、考えてみるとクライアントの方もそうだよな…と思い、再整理に至ったというわけです。

ニュースレターとの違い

では、本ニュースレターで発信している情報との違いは何でしょうか?

ひとことでいうと情報の広さと深さが違います。

PAI-HUBに含まれる話題は広く、レターよりも更新頻度が若干高めになっています。その代わりに一つひとつの記事の長さは短めです。

一方、本ニュースレターで発信している情報は深くなっています。読者限定配信のレターがほとんどということもあり、ブログでは書きにくいことも含めて書いています。また、今年からはじめた大学非常勤講師の講義内容を踏まえた記事もこちらで発信しています。

今後も同じスタンスでニュースレターの発信を続けていく予定です。

PAI-HUBの構成

PAI-HUBはクニラボで発信してきたピープルアナリティクスの記事を整理したもので、以下のような記事を含んでいます。

ピープルアナリティクス・実践ブログ

人事データ分析のポイントやチームビルディング、AIの先行的なプラクティスなど、ピープルアナリティクスの実践記録やナレッジを記事にしています。

ピープルアナリティクス・ユースケース

以前は「人事データ分析・アイデア集」として公開していたものをユースケースとして整理しました。分析テーマを発想するためにご利用ください。HowでなくWhatにフォーカスしたユースケースになっていますので、分析アプローチについては薄い記述になっていますが、今後拡充していく予定です。

ピープルアナリティクス・データ可視化ギャラリー

人事データの可視化例を集めたギャラリーをリニューアルしました。リニューアルと共にいくつかの記事を追加しています。今のところPythonを使った例を集めていますが、今後はBIツールでの可視化例も増やしていきます。

コンテンツ

人事データ分析の練習に使える「HRトイデータ」や、人事データ分析の切り口をまとめたマインドマップなどを提供しています。今後は学習コンテンツを拡充させたいと思っています。

ニュースレター

本ニュースレター「データ分析ダンジョン探索ガイド」の最新記事の見出しを掲載しています。

構築に苦労した点

PAI-HUBは、クニラボWebサイト内のページとして構成しています。Webサイト内に作られたプチオウンドメディアのような形です。

開業時では副業状態だったのでAmeba Owndを使ってさくっとWebサイト作り、その後独立に向けてSTUDIOでリビルドしていきました。

STUDIOのCMSはモデルと呼ばれるテーブルであらゆる情報を管理できるのが特徴で、そのテーブルとWebページのリストやBOXを紐づけることで動的ページを構成できるのが便利です。クニラボでもCMSを積極的に活用してきました。

しかし、STUDIOでページを作ったときは事業の方向性が見えていなかったこともあり、コンセプトが絞り込まれていませんでした。そこでこの6月にピープルアナリティクスにフォーカスしたトップページに改修。コンセプト動画を編集し、キーメッセージや構成を絞り込みました。

そして、ピープルアナリティクスの記事の集約と再構成に取り掛かったのですが、一つの壁に直面していました。これまで思いつくままにCMSのモデル(テーブル)を作っていたので、横断的なページを作るのが難しくなっていたのです。

以下の画像は集約前のCMSモデル管理画面です。NEWS、アイデア集、ブログ、ギャラリーなど集めたい記事が複数のモデルにまたがっている状況でした。これは、各ページに表示したい内容が若干異なっていたためです。RDBの正規化の原則に従ってモデルを増やしていった結果、モデル数が多くなっていました。

こうした状態であっても、モデルごとの表示領域を作ればHUB的サイトを作ることはできます。しかし、STUDIOは複数のモデルを跨った検索や最新記事のリストアップができないため、思い切ってモデルを統合することにしました。STUDIOのプランが変更されてモデル数の上限が設定されたこともあり、良い機会でもありました。

しかし、モデルの統合作業は単純ながら結構大変でした。

第一に、STUDIOは記事のエクスポート機能がないため、一つひとつ手で移行する必要がありました。単純作業と言えばそうなのですが、地味に大変で、数日間の工数がかかってしまいました。

第二に、統合したモデルのテーブル構成を変えたことに起因し、一覧ページや詳細ページに大きな改修が発生しました。STUDIOは複数のプロパティで絞り込むことができないという欠点があり、結果としてマルチセレクトのプロパティで絞り込むしかないという事態になったからです。つまり、記事内容の単純移行だけでなく、プロパティの再設計も必要になりました。

第三に、表示速度に課題が出てしまいました。以前からCMSの絞り込みにはやや時間がかかっていたのですが、モデルを統合して制御用のプロパティが増え、かつマルチセレクトでフィルターをかけたことが影響し、表示に時間がかかるようになりました。プロパティをスリム化し、内部リンクを外すなど工夫してだいぶ改善したものの、今も課題が残っています。

このように、思ったよりも工数がかかってしまったわけですが、自分一人で作ってメンテナンスしてきたということもあり、見通しはありました。もし複数人で構築していたとしたら、もっと時間がかかったと思います。

今後について

今後はPAI-HUBを中核にして、ピープルアナリティクスの実践的なノウハウを発信していきながら、学習コンテンツも作っていく予定です。

みなさまのご意見も取り入れていきたいので、コメントをお待ちしております。

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