従業員エンゲージメント分析でアナリストが直面する課題と工夫
先日、HRNote様のセミナーにて、離職問題への定量分析アプローチについてお話させていただきました。多くの方にご参加いただき、非常に有意義なイベントになりました。ご参加いただきありがとうございました!
私のパートでは、離職事象の先行指標として従業員エンゲージメントを取り上げ、エンゲージメントスコアと他の人事データとの関連を分析するときのコツを3つほどお伝えいたしました。基本的なアイデアは以下のスライドのようなものです。

こうした分析を行うとき、エンゲージメントのスコアと他の人事データを結合すれば、後はすんなり結果が出るかと言えば、そうでもありません。多くの場合、単純に従業員別にデータを横に並べて相関をとっても、さっぱり傾向がでないという事態になりがちです。
そこで、様々な作戦と分析上の工夫が必要になるわけですが、セミナーの趣旨から離れてしまうので、技術的なアプローチについてはあまり触れませんでした。そうしたところ、セミナー事後アンケートにて一部視聴者の方から、エンゲージメント分析の例が基本的すぎたので掘り下げてほしかったというご要望がありました。
ということで、本レターでは、離職というテーマから一旦離れ、日々エンゲージメント分析に取り組む中で悩んだり工夫したりしていることをお伝えします。
エンゲージメントスコアの活用について
現在、組織内でエンゲージメントサーベイを行うことは日常的なものになっているように思います。パルスサーベイ的に実施されている企業もあれば、年に1-2回ほど実施し、じっくりと改善策を検討している組織もあるでしょう。
私はデータドリブンHRコンサルタント兼データサイエンティストの立場で、ピープルアナリティクスの技術的なアドバイスや分析実務支援をしておりますが、近年エンゲージメントサーベイのデータを利用した分析に携わることが増えてきました。
といっても、サーベイの設計や回答の集計に携わるのではなく、集約したスコアを何らかの形で活用するような取り組みばかりです。離職以外の観点では、次のようなテーマになります。
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従業員のスキルのアセスメント結果とエンゲージメントサーベイの結果との関連を調べたい。
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エンゲージメントと組織のケイパビリティの課題との接点を分析したい。
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労働環境とエンゲージメントスコアの関連を知りたい。
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ハイパフォーマーとチームエンゲージメントの関係を知りたい。
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エンゲージメントと売上や利益との関係を調べたい。
明確な着想に基づいたテーマ設定もあれば、何かの代替変数としてエンゲージメントスコアを当てているようなケースもあります。また、エンゲージメントを起点にとにかく関連を調べたいという探索的な取り組みも多いですね。
ここで取り上げたテーマはどれも興味深いものですが、必ずしもアカデミックな知見があるような話ばかりでなく、現場での試行錯誤が求められるのが特徴です。
例えば、エンゲージメントと売上の関係のように、直観的に「事業構造にもよるので直接関係性を見出すのは難しいのではないか?」と感じるテーマであっても、調べてみたいというニーズは留まることがありません。
また、一見当たり前に感じられる「上司のマネジメントスタイルがチームのエンゲージメントに影響する」という命題であっても、組織のすべての方が一般論で納得するわけではありません。そのため、人事施策を前に進めるため、一見当たり前に思えることをデータで確かめるプロジェクトも存在します。
エンゲージメント分析の悩みどころと工夫
上にあげた「~の関連を知りたい」というニーズはデータ分析の基本とも言えますが、データ分析者は期待値と現実のギャップに悩むことになります。具体的にどんなギャップだと思いますか?